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ベーシックインカム設計論?―?2009年02月12日 00時18分44秒
- ベーシックインカムの世界 - Chikirinの日記
本論の思考実験についての批評はさておき、一つだけ。
金額設定をざっくり 15万、と言ってしまうのは、あまりにも乱暴だ、とは思う。本当にそれで導入してしまうのであれば、確かにいろいろと歪みも生じるでしょうね。
ベーシックインカム (以下、BI) 導入による政策上の目的、狙いを何に置くか、にもよるのだと思うのですが、それによる結果を思考実験したいのであれば、BI で個々人に支払う金額と支給方法、そして財源を前提として考慮することは必須であると思います。
金額固定では地域格差や物価変動などを吸収できない
どこに住んでいるのかによって、生活に必要な金額というのも変わってくるでしょう。特に住居。アルバイトの求人一つ並べてみたって都内と郊外とで時給はがらっと変わるわけですから、全国一律金額固定では地域格差を吸収できません。
また、ブコメでも指摘されていますが、BI という制度そのものが物価や貨幣価値に与える影響についても考慮する必要があります。BI が保障する生活価値以上の価値創造を利潤に求めれば、物価は比較的早く上がってしまう可能性があります。こうした側面も考慮した上での工夫が必要になるはずです。
国家という信用を担保にするならば、後払い方式も可能ではないか?
で、これは若干安直な思いつきですが、実際に生活する上で必要だった金額を「生活経費」として計上してもらい、それを国家に請求して支払いに応じる、という運用もありなのではないかと考えてみます。もちろん、そんな運用では事務費用が馬鹿にならないので、そういう部分もいろいろと工夫が必要になりますが、基本理念としてこれがアリになれば、「生活経費」として認められる分野については「ツケ」が可能になります。「ツケ」であれば、使った金額を管理するのは商売する小売店や飲食店などになりますから、確定申告などの際に同時に処理すればよいわけで、おおなんだ、事務費用もそれほどかさまないかも知れないじゃないか。ってそんなうまくは回らんかも知れんけど。
「生活経費」の定義
さてここで問題になるのがこれ。
まずは住居。賃貸にせよローンにせよ、「これだけ支払いが生じたので、その分全部補填して下しあ」をすべて通すわけにはいかないかも知れません。住むこと自体が贅沢な家やマンションが無いわけではないですからね。そこで、上限金額などを設定することになるわけですが、この金額の設定は、原則的には最小単位の地方自治体、即ち市町村に任せるべきでしょう。金額設定の妥当性を検証する司法系の第三者機関があっても良いかも知れませんが。
次に食事。ざっくりとした提案としては、食材購入費すべて (調理済み総菜や弁当なども含めるとしましょう) と、国または自治体が認可する食堂のみを対象とする。酒類は (調理酒、味醂などを除いて) 対象外。
あ、やるならツケは電子化した方が良いかもしれませんね。それこそ住基カードの出番です。BI 対象商品をツケで購入すると、翌月末にツケの分の金額が国または自治体からお店に振り込まる、みたいな。
次にインフラ類ですが、水道光熱費は上限はあっても良いかもしれませんが (但し季節に応じて上限金額を上下すべきかも知れませんが) 基本的には対象内として、悩ましいのが通信費とテレビ受信料でしょう。まず、電話代、インターネット接続利用料についてはどこまでを対象とすべきかは議論の分かれるところでしょう。例えば電話については、110/119/117/177 のみが可能な最低限のサービスコースを用意すべきかも知れませんし、通話料抜きの基本料金までを対象とすると言うのも手かも知れません。ネットについては、国が独自のネットワークサービスを提供し、官公庁や各自治体のサービス、ハローワークなどのみが無料で利用可能、とすることはできるかも知れません。また、NHK の受信を「公共放送であり必須インフラ」と考慮するなら、そもそも受信料方式は廃止して、税金のみで運営するべきなのかも知れません。
交通費についても悩みどころです。交通費が BI の対象になるのであれば、これまでは一般的であった会社からの交通費手当は一般的ではなくなるでしょう。その一方で、生活に必要な交通とそうでない交通との切り分けという問題も発生します。
「生活経費」は全額支給? それとも一部支給?
さて、これらの生活経費をすべてツケに回したとして、国はこのツケを全額補填すべきでしょうか? それとも一部補填とすべきでしょうか? 一部補填にする場合、何割程度を補填すべきでしょうか?
8割補填とかの場合であれば、年末調整や確定申告時に残りの 2割を税金として支払っていただくようなイメージになるでしょうか。ただし、失職中などで支払い能力がない場合には、先延ばしできるようにするか、もしくは申請に応じて免除する、といった運用もアリでしょう。
逆に 3割程度の補填とかの場合、そもそも「ツケ」というやり方自体に無理があるかも知れません。その場合は、領収書を集めてもらって、個別に申請して受け取りに行く、というような運用になるでしょうか。その場合、事務費用がかさむので、あまり厳密な審査はしにくくなるでしょうね。
「生活経費」以外にも BI の対象とすべき費用はあるのではないか?
さて、ここまではちきりんさめが提示されていた BI に対する説明としての、
すべての成人に無条件に(=働いていなくても、多額の資産をもっていても)最低限の生活費を支給する制度?というのを純朴に信用した上での議論だったわけですが、そもそも BI の前提というのは、本当に?
最低限の生活費を支給する制度?で間違いないのでしょうか?
いつだったか、マッチョなあの人なんかは BI は支給されたお金の使い道については個々人の責任において自由に選択されるべきで、それが故に BI はいい、 BI は美しいみたいな話を書いていたよーな気もします。探すの面倒くさいので別にリンクとかしませんが。
まぁ、個人的には富の再配分が効率よく行われるんであれば、そういう感じの制度案には割と好意的ではありますが。それが「最低限の生活」とやらを保証する必要まであるのかどうかは別として。
つか、最低限の生活保障したいなら、BI 云々より先にやるべき事はいくらでもあるだろう…。賃貸が保証人のサインを求める事への規制、とかな。
2009年 2月 12日 木曜日 01:42:11 JST -?追記
財源について
めっさ抜けてましたw
まぁ、当初の前提で考えるなら、年金やら生活保護やらを取り崩して、というやり方になるんでしょうかね。で、足りない分を増税などによって賄う、と。
そうではなくて、富の再配分であることを強調し、個々の責任で自由に使う国からのお小遣い的なものをイメージするのであれば、年金や生活保護は完全に取り崩すのではなく、BI での支給分を加味して調整するようにし、基本的には高所得者と資産家を軸とした全体的な増税で賄うべきなんでしょうね。
「どうせ破綻するだろう」とおっさられる方々にこそ、破綻しない BI の形なんてものも考案してみていただきたいものですが…。きっとおいらなんかよりも経済も財政もお詳しいんでしょうから…。
長島一由氏って、いつの間にやら民主党から国政選の候補者として準備していたのね。?―?2009年02月22日 09時54分24秒
- 長島一由 オフィシャルサイト
知らんかった…。トップの画像に思いっきり「衆議院」って明記されてるし…なかなか解散してくれなくってやきもきしてるんだろうなぁー?(^_^;。しかしステキな眼鏡っ漢だw
この人以前はブログも書いていたんだけど、一番最後の、自分の本を紹介するエントリーのみを残して、他すべてのエントリーをばっさり削除してしまった模様。拙ブログからも度々参照させて?いただいたりしていただけに、激しく残念。民営化への舞台裏とか、めちゃめちゃ興味深い記事だったのよ。
ただ、氏の逗子市長としての取り組み実績についてよくまとめられた冊子が?PDF で公開されているので、政治、特に地方自治や行財政改革に興味のある人は、橋本知事をベタほめする前に、一度目を通してみる事をオススメします。まぁ、市町村長と都道府県知事とでは事情も環境も全く違うんでしょうから単純に比較はできませんが…。
例えば職員の雇用に関わる費用の削減においても、給与カットや首切りではなく、新規雇用の削減による 20年計画での半減を主軸に、非常勤職員の増員、業務の民間委託などでカバーするという政策を打ち出し、実践しています。こうした取り組みは、任期一年目でいきなり黒字化するような短期的な成果が見込めるものではありませんが、そもそも将来的に財政が回復する見通しを「仕組みとして」導入し、その説明責任を果たす事が可能であるなら、短期的に数字として表れるわかりやすい成果など、そもそも不要なのではないでしょうか?
地方自治の事例については、成功例にせよ失敗例にせよ、もっともっと情報共有されるべきなのではないかと思います。歴史教育と言うよりは、社会の共有認識を高めるという事が重要です。
しかし民主党かぁ…。衆院選、早く始まってくれると良いですね。(^_^;A
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